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人から鬼へ、鬼から人へ。
鬼とはいったい何でしょうか。
なんとなくツノが生えているとか、虎の毛皮を身に着けているとか、そういったイメージが強いのではないでしょうか。
実は一口に鬼と言ってもその種類は意外に多く、元々神様だったり人だったり。
日本人が昔話の中で慣れ親しんできた鬼は、お姫様をさらったり村を襲ったりしています。
ですが同時に知恵者にやりこめられたり、かえって振り回されたりもする多彩なキャラクターであることはその来歴からも窺えます。
鬼と日本人。
今回は二つのテーマについて、知らなかった一面をのぞける本を選びました。
今回はテーマが二つということで、鬼と日本人どちらにも焦点が当てられている本が多め。
黒板アートは般若をモチーフにしています。能では女性の嫉妬や恨み、怒りによってヒトの存在を超越した姿として描かれる般若は「あはれ」「をかし」と表現されてきた日本の情念の核とも言える存在なのではないでしょうか。
「思わぬ出会いを広げられるように」と作られているぶん文Bunには鬼と日本人、それぞれをテーマにした棚があります。
今回はその棚同士、引き合わせられるような本ばかり。
『日本人の愛したお菓子たち』は、今日スーパーやコンビニで簡単に手に入る見慣れたお菓子と辿る日本製菓史。
それは明治期に始まり、文明開化とともに日本へ入ってきた洋菓子と古くから親しまれてきた和菓子、その二つに向き合い続ける人々の歴史でもあります。
新渡戸稲造が「日本人の道徳とははたして何を規範として形成されているのか」を紐解くように著した名著、『武士道』。
世界全体が変革を迎えている現代においてもその言葉は日本人に深く根付いているものばかり。
『桃太郎は盗人なのか?─「桃太郎」から考える鬼の正体─』は当時小学5年生の倉持よつばさんが夏休みの自由研究で取り組んだ、鬼への見方が変わる民俗学と言うべき一冊です。
桃太郎が鬼ヶ島へ行ったのは悪者の討伐か、異民族への侵略か。考えさせられる一冊です。
節分が終わり、鬼は去っても椎葉の冬将軍はまだまだ長居の気配です。
暖かくなるまで図書館でのんびり本でも読みませんか?
今年もぶん文Bunにどうぞお越しください。
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今回の特集棚担当は、氷点下5度の世界を初めて知ったとまり木司書・髙橋です。
やっぱり冬眠したい。